清原絵画教室のブログ

神戸で絵画を学ぶ。初心者からプロまで。

2009年01月

イメージ 1
当教室の2007年の技術的発展の目玉が一発彩色法だったとすれば、2008年のそれは「色遊び」と呼ばれているドリルになるでしょう。
色遊びは徐行描きと一発彩色法をつなぐ懸け橋であり、彩色に先立って習得されているべき重要なステップです。その目的は色材のコントロールを学ぶことです。
今年の教室生徒作品は、おそらく色彩を扱うコントロール能力に支えられた作品が多く並ぶことが予測されます。
写真は、色遊びに取り組むレッスンの風景です。




第6回清原絵画教室生徒作品展

2009年2月28日(土)-3月5日(木)
11:00-19:00(最終日4:30)
トアギャラリー
神戸市中央区北長狭通3-12-13
tel 078-334-0531

イメージ 1
Kさんはバレエの少女の絵を描いています。同じテーマで2枚目に突入しました。上の絵が1枚目です。最初にこの絵の着想を得てから、それを少しずつ膨らませていく絵のドライブにおつきあいさせていただいていますが、それは楽しい旅です。3つの窓という西洋の古典的秩序の前に配置された初々しい3人の日本人少女。どこか懐かしい、20世紀中盤の香りが漂っています。その背後に、さりげなく広がる現代の郊外風景。私はこの作品のように、時代を経ても生命を失わない伝統と、現在の刹那のきらめきが交錯するような世界が大好きです。Kさんは、生活の中で得たかすかな霊感を、制作を通じてていねいに洗ったり磨いたりしながら、育て、発掘しているようで、その過程にお供するのはとても楽しく、心が震えることなのです。
そして自分の物語を初号作品においていったん構築した後、2点目の作品で今度は造形的に掘り下げる旅にに乗り出していきます。写真左上に見られるような、さまざまな巨匠の絵画作品を参照しながら、少女の顔のタッチやプロポーションを微調整していきます。
私は普段の指導において、枚数を描くことの大切さを強調してきましたが、自分の欲しかったビジョンを得るために、1枚の絵の中で試行を繰り返すよりも、その織り重ねられた試行を分解し、複数の絵の中で端的に言い切る方が、ずっと実り多いと感じていて、その考え方をレッスンの中でよく口にします。
Kさんの2枚の作品は、それがサクセスフルであることをよく示していると思います。







イメージ 1
一発彩色法。すなわち一筆ごとに色を変えて、隣へ隣へと置いて行く彩色法。重ね塗りは禁じられています。
これは西洋絵画でア・ラ・プリマ(一発で)とか、パート描きと呼ばれています。清原絵画教室では、徐行描きとともにこの一発彩色を身につけてから絵画の旅に出るように指導しています。
写真のMさんは、一発彩色法を十分に習得した後、セザンヌの模写に打ち込みました。セザンヌ作品は油彩ですから、油彩経験のないMさんはガッシュで模写に挑みました。セザンヌの絵は、隣り合う色と色の関係が緊密で、この緊密な色の関係を十分に吸収するのに、一発彩色法の方法に慣れていることはとても有効だったと思います。
そして今、Mさんはご自分で撮られた写真を見ながら、この絵を描いています。一発彩色法、セザンヌ模写を経て、絵画のアプリケーション(アプリケーション:特定の仕事を処理するために作られた、コンピューターのプログラム)を採り入れた今、写真を見て描く際にも独特の進め方が可能になりました。
一発彩色法はこのように、近代西洋絵画の重要な概念に結びつく制作へと展開していくことがあります。

Mさんは教室展(清原絵画教室生徒作品展)に出品する作品を準備中です。写真の作品を出品するかもしれません。



第6回清原絵画教室生徒作品展

2009年2月28日(土)-3月5日(木)
11:00-19:00(最終日4:30)
トアギャラリー
神戸市中央区北長狭通3-12-13
tel 078-334-0531






イメージ 1
生徒作品展に向けて…、私はというと一発彩色法でこつこつと描いているところです。
一発彩色法は一度のタッチごとに、色を変えて描いていく方法です。色が大きく移り変わる部分、例えば緑の葉とピンクの花が隣り合ってるところなどは、それがしやすいのですが、広い芝生や大きな木立の葉など、色の移り変わりがあまりない部分は、どの色をどこに置くかという判断が難しいです。

私はよく、自分で撮った景色の写真を見て描くのですが、少ない色の変化を理解するために細かい部分を見ようとすると、目を凝らしても色を見つけきれない。そして細かすぎて、写真を見て、キャンバスを見て、また写真に戻って来た時には、さっき見ていた部分を見つけるのさえ、ままならないという事になります。
そんな時、どうするかと言うと、目で分析しきれない事と、ある程度見失ってしまう事を分かりながらも、とにかく目を凝らして、写真をしつこく見ます。そうするとなぜかこの色だと思える色を見つける事ができるのです。「この色だと思える色」は写真の色を目で正しく判断できた色ではありません。

なぜ、この色だと思えるのか考えてみました。すると、これが答えかなと思える事がふたつありました。
ひとつめは、写真にとらわれすぎず、キャンバスの上で今まで描いてきた色、特に今描こうとしている部分に隣合う色といい関係になる色を見つけるという事です。これは一発彩色法で大切にされている事です。
ふたつめは、写真の景色を実際に見た時の、景色全体の色の感じを頭の中で思い描き、今描くべき色を見つけるという事です。
どちらも感覚的で、目を凝らして写真を見た事から直接得られたものではないかもしれません。

でも私は、とにかく見るしかないと思っています。分析しきれないからと「なんとなくこの色かな」「この色なら差し支えないかな」という色を置いていって、制作中の絵から気持ちが離れてしまった事が何度かあったからです。
この先、今の自分が想像もしていないような色々な描き方や、モチーフに出合うと思いますが、今は景色(モチーフ)と画面(キャンバス)をよく見て、誠実に描くことを続けてみようと思います。

下から徐々に色づいていくこの作品。
2009年2月28日(土)からの生徒作品展で、どのようになったかご覧ください。
私も自分の作品がどうなるか楽しみです。

イメージ 1
こちらも全てお一人の方が描かれたもの。A.Iさんの作品です。
A.Iさんの作品を観ていると、なぜか少し切なく、それでいて静かな喜びが向こうからやってくる感じを受けます。
A.Iさんは以前から紙の余白の白を上手く利用されていましたが、この1年くらいは紙を粗目にし、意図的に色鉛筆で着彩した間に粒状の紙の白が見え隠れするように試みていました。
そうすると、絵の中の景色と観る人の間にベールがかかったようになり、ますます観る人を不思議な感覚にしてくれます。

↑このページのトップヘ