清原絵画教室のブログ

神戸で絵画を学ぶ。初心者からプロまで。

2010年05月

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KCCミント教室は、今、国際色豊かです。

5月の後半から、2人の外国人が増えました。

現在、アメリカ、スイス、ドイツ出身の外国人が

楽しんでおられます。

描かれる絵の色遣いも、

何となくお国柄があるようです。

絵は言葉の垣根を越えて、

異文化が触れあうコミュニケーションです。

これを大事にして、だんだんこの輪が広がればいいなと願っています。

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杣太一郎君(小2)の作品です。

能面の写真を見て描きました。

伝統とは、常に新しいもの。

つまりアートと同じである。

そこに生命があふれているもの。

新しい希望を与えてくれるもの。

遠い彼方に、きっと到達できると思わせてくれるもの。

日常の裂け目から、恐るべき戦慄とともに訪れてくるもの。

恩寵のように、福音のように、霹靂のように、雷鳴のように。

日常見たこともないものなのに、

ああ、これは真実だと信じずにはおれないもの。

己を笑い飛ばす爆風。

そしてこのお面のこの顔は、なんとおおらかなことでしょう。

私の心も、この面のように、この絵のように、こだわりなく、屈託なくありたいと願います。

伝統に目を向け、伝統を愛し、伝統を自分のものにし、

新しい生命を与えた、太一郎君の、このような絵をすばらしいと思います。

私は一度、ルーブル美術館に行ったことがあります。

ある憂鬱を抱えていた、窒息しそうな閉塞の時期です。

自分を平面の人間と任じ、フェルメールとレンブラントの絵を見るぞ、と勇んで行ったのに、

ふと足を踏み入れたルネサンス彫刻から始まり、

ゴシック、ロマネスク、クラシック、エトルスク、アルカイックといった彫刻展示に心を射抜かれ、

釘づけになり、歴史を遡るにつれ、その輝きが増すのを感じ、夢中で古代までむさぼり見ました。

そしてついに、紀元前2000年頃の、メソポタミア彫刻に至って、

私の歓喜は絶頂に達したのです。

あなた、小さいことに思い悩みなさんな。

あなたの悩みなど、芥子粒です。

小さな土偶に、そう言われた気がした。

閉館時間。

誰もいない古代彫刻の陳列室。

ああ、僕は古代人と会話した…

フェルメールもレンブラントも見れなかった。

でも、もうどうでもよかった。

あの土偶に比べたら、バロックの至宝の、なんとちゃちいことか。

その瞬間、確かに私はそれほど満たされたのでした。

太一郎君のこの絵を見ながら、ふとそんなことを思い出しました。

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杣太一郎(小2)の作品です。

私はこの作品に、

人間のすばらしさへの信頼を

回復させてくれる力を感じます。

私をどやしつけてくれる人。

どやしつけるに足る奴だと思ってくれる人。

この像をじっと見ていると、

お前はまだ高く登れるはずではないか、

目を覚ませ、自分の力を思い出せ、馬鹿野郎。

と言っているように思えてきます。

汝、高潔であるべし。

私は、日の峰教室に来るキッズは

アーティストだと思っていると、

再三言って来ましたが、太一郎君も、

私を高みへ連れ出してくれる、このような作品を描いてくれました。

子どもには、十分な出力のスキル、説明力がない。

けれども、作品が内蔵する爽快で勇壮な世界は、

大人に負けていないと思います。

あなたは本来、こんな風にきれいだったはずではないですか。

いじけちゃいけません。

汝、自らの力、過少にみくびるなかれ。

何をみみっちい調整、つじつま合わせに拘泥しているのか?

すねてないで、寝転んでないで、シャイにはにかんでないで、

早く立ち上がって自分の仕事をしろよ、馬鹿野郎。

覚醒を呼ぶ1枚の芸術。

南無。










































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杣太一郎君(小2)の作品です。

能面を見て描きました。

私は、この絵に、

精神の伝統の継承を感じます。

矮小な俗世をまるごと肯定しながら、

おおらかな高笑いで笑い飛ばし、

我々をここではないどこかへ、

遠く高い場所に連れ出してくれるもの。

私はそういうものをアートと

呼んでいますが、

能面にはそんな高笑いが満ち溢れており、

そして、

太一郎君の絵にもそのような笑いがあり、

私を元気にさせてくれるのです。

私は、この絵の中に、

そうした伝統の核心のDNAが流れているのを感じます。

アートがどうでなくてはならないかという要件を

備えていると感じます。













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杣太一郎君(小2)の絵です。

何も見ずにこれだけの発想が溢れてくるのが

すばらしいですね。

ポジティブな装置、

人をポジティブにさせる装置です。

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