清原絵画教室のブログ

神戸で絵画を学ぶ。初心者からプロまで。

2010年12月

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明日は聖夜ですね。

皆さんはどんな風に過ごされますか?

私は新長田・お勤め帰りの絵画教室で仕事です。

画像はWAVEの表紙のために描いた、ピエロ・デ・ラ・フランチェスカの「キリスト降臨」の模写です。

とはいえ、本来地面に寝ているキリストは構図の関係上、宙に浮いています。ちょっとSF的になりましたが、そこは一つ、2010年バージョンということで。

ピエロ・デ・ラ・フランチェスカ(1417?~1492)は初期イタリア・ルネッサンスを代表するフィレンツェ派の巨匠です。

長い間美術史から埋もれていましたが、20世紀になって美術史家ロベルト・ロンギによって「再発掘」されました。

幾何学的な構成的秩序、明澄な色価が現代に通ずるとしてアーティストたちから高く評価され、愛されている画家です。

私は1992年にイタリア・トスカーナ地方のアレッツォという町の聖フランチェスコ聖堂のフレスコ壁画、「聖十字架物語」を見ましたが、薄暗い聖堂の真ん中に改修工事用の足場が組まれていました。

真っ暗な聖堂に設置されている箱にコインを落とすと、パチン!と黄色い白熱電球が点灯し、ジジジ…とタイマーが動いて3分くらいしてからパチン!と切れてしまいました。展望台の望遠鏡のパターンです。

その、なんというか、銭湯のマッサージ機みたいな風情がとても印象に残っています。

分厚いガラスに守られたルーブルのモナリザとは大違い。

田舎の敗れ寺。そこでマッサージ機のような趣向で崇高な絵と対峙する。至福です。イタリアに行ってみてよかった、と思います。

明日はサン・サーンスかフォーレを聴きながら、この巨匠の画集でも眺めてみるかな?…いやいや、ちょっと「うーんマンダム」みたいですね…一人で照れ笑いしそうだ。

ともあれ、よいクリスマスをお過ごしください♥

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年の瀬ですね。

今年はどんな年でしたか?

清原絵画教室の1年は、まあ、平和でした。

講師清原が4月に2年間の自治会長任期を終え、仕事に専念できるようになったことが一番大きいできごとでしょうか。

人一倍そうした活動に疎い私も、、2年間は地域のためにご奉公という気分で、どうにかやり終えることができましたが、やはり大役でした。

人生の先輩方を相手に協議、交渉が多く、時には声を張り上げての議論もありました。

年間予算を立てたり、支出金額を巡って激しい議論の中調整に駆け回ったり、相見積で業者選定したり、市に助成金申請したり、街路樹の剪定や農薬散布や道路補修工事を頼んだり、選挙の立会人になったり、

建築協定で業者と交渉したり、会議で議長をしたり、ため池に入って清掃したり、夏祭りの準備でおみこしを組み立てたり、その他にも膨大な仕事があり、まあ鍛えられたのです。

しかしおかげで社会経験の浅い私も、少々荒療治ながら世間における物事の進め方、常識を学べました。「気ままな絵描き、社会勉強に悪戦苦闘す」、キッザニアならぬオッサニア?でした。

あとはパソコンに疎かった私もどうにか触れるようになったことはよかったです。

清原絵画教室の8大ニュースをまとめてみました。

1位、清原代表、2年間の自治会長職の服役を終え帰還!

2位、18名参加、1泊2日の秋合宿成功!
語らいの夕べ大賞、前代未聞の4名受賞!

3位、2年の沈黙を破りスケッチ大会完全復活!

4位、KAVCで有志5人が大新開地展開催!

5位、KAVCで藤田氏が水彩画40点をひっさげ個展を開催 入場者堂々480人超の偉業達成!

6位、パソコン君が大往生、2代目に! 一時ブログが途絶え、教室の通信網に大きな打撃!
流星6号を作り終えた直後うんともすんとも言わなくなり、燃え尽きた「はやぶさ君(いつの間にかそういう名前になっていた)」!

7位、清原画伯が松方ホールWAVEの表紙を担当開始! 西洋古典の再解釈に挑む!

8位、でかしたハル(清原画伯の10歳になる飼い犬)、1週間におよぶ留守番を生徒さんのえさやりと散歩に支えられながら見事達成!!

最後はスポーツ新聞みたいになってしまいました。

平和ですね。

でもまあ喜ぼう、平和を。普通を。

ほかにもあるぞ、というニュースがあれば受け付けます。

来年、さらに躍進のニュースを作れるようにがんばりましょう。

あなたが流れ星のように輝き、疾走する年になりますように!

(写真は昨日神戸ハーバーランド、キャナルガーデンで撮りました。)

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今日は私が尊敬するアーティストを紹介します。

その第1回はブライアン・イーノ。

ブライアン・イーノはポップミュージックの音楽家として認知されていますが、その実験性や、私をはるかな高みに引っ張ってくれる意味においては、彼の作品はアートだといえます。

18歳のとき、初めて聴いたアルバムは「アポロ」でした。

この作品は、彼の重要で代表的な仕事である環境音楽=アンビエント路線の中でも、最もアンビエント色の強いものでした。

その時はその値打ちがよく分からなかったのですが、1995年私が29歳のときに「団地」というものに衝撃的に啓示を受けた頃、撮りためた団地風景の写真を眺めながらおよそ10年ぶりに聴いたら、見事に似合っていて、冷たいコンクリートの上に寝そべって風に吹かれながら、要塞の廃墟のような白い建物を遠く眺めているようなそれまで味わったことのないような、でもすごく懐かしいような感覚に襲われました。

ブライアン・イーノの音楽は、必要最低限の要素をシンプルに磨き上げて提示するようなところがあって、不要な装飾はありません。

工学、機能でできた快楽音みたいな感じなのです。

池澤夏樹の1987年の芥川賞受賞作「スティル・ライフ」の持つ、冷たい、硬質な透明感みたいなものが「アポロ」にはあります。

「アポロ」を含むアンビエント・シリーズは本当にすばらしい仕事です。世界的な評価も得ています。このあたりの仕事をポップ・ミュージックにカテゴライズするのには反対!といっても、おそらく多くの人が首肯してくださるような気がします。

さて、数あるイーノの作品の中で、私が最高の名盤として挙げたいのが1975年の「アナザー・グリーン・ワールド」です。

こちらはアンビエント・シリーズの一種シリアス路線とは全く趣向を異にして、純然たるポップ・ミュージックの中にいれることができる作品です。

けれども娯楽的な意匠の奥にある作品構造をよーく味わってみると、この作品の持つ強度が確かに感ぜられるのです。

全編を貫く、くずれ感覚、ルーズなだらしなさ。

それらに、対比的にコンバインされた先鋭的な音色。

本来的な音楽的規範からすれば、だらしなーく逸脱したような音楽が、実は隙のない秩序で構成されているような感じ。

私は音楽については全くの門外漢です。技術的で正確なな分析はできません。あくまで印象批評です。

でも強くリスペクトしています。

レコーディング前に36曲が作曲され、その中から14曲が採用されました。

バックアップのミュージシャンと14曲は計画的にセレクトされました。

そして彼らに、イーノから次のような指示が与えられました。

「これはジャム。セッションでもなければ通常の演奏を望むものではない。自分自身の演奏であれ。その演奏をレコードに使えるものであれ。」

そしてこれに最小限の適正な命令が与えられました。

それはたとえば「この曲は90秒間の長さになる。キミはその中で10のノイズを出しなさい」というようなものだったといいます。

イーノはこうして作り出された音を巧みに構成・編集してこのアルバムを完成させたそうです。

私は長く彼を師匠と呼んできましたが、彼の作品作りはこのように、
とてもコンセプチュアルでいわば建築的です。

音楽を作ろうとせず、計画から音を作るのです。

彼がもともと美術家だったことを最近になって知りましたが、なるほどそれは分かるわ、とうなずいた次第です。

この中で私が特に好きな曲は「ゴールデン・アワーズ」です。

イーノの作るメロディは最高にキヤッチーだと思う。

この強烈な大衆性。

強烈なサービス精神。

なんかもたもた、すっとこどっこいな演奏。

それなのに、その曲はものすごく遠い彼岸のようなところに連れて行ってくれるのです。

ミュージシャンは超一流です(ヴィオラはベルベット・アンダーグラウンドのジョン・ケール、ギターはキング・クリムゾンのロバート・フリップ)。

ゴールデン・アワーズ

時の経過は帳の上を微かに振動してゆく

私は文字の連なりを読んでいられない

私はそれらの行間にあるものを

自分から読み取れるのだといつも考えていた

恐らく私の脳は砂に変わってしまったのだ


おお、何ということ

私はそれが永遠の来世だと思っていた

あなたは、そんな私の頼りなさ加減に

驚いてしまうだろう

どうしたわけで時はこんなにも

ゆったり過ぎてゆくというのだ


幾度か褪せてゆく昼の時間を引き継いで

夜が忍び寄るのを見つめていた

恐らく私の脳の中は

   古くなって掻き回されているのだろう


幾度か私は昼間に取って代わって

夜が充ちてゆく前兆を眺めていた

水をワインに変えてゆくようなそれを


幾度か、その兆しを見つめていた

昼間に覆い被さるように夜が拡がってゆく様を

葡萄を蔓に戻しながら

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パンパステルを試用体験しました。

パンパステルはきめが細かく、発色が良いと感じました。

そして消しゴムや練りゴムでもよく消えました。

また、水彩やアクリルの上にも色がよく乗るので、教室で水彩との併用技法を展開してもいいかもしれません。

画像右上には描画用の道具が見えます。スポンジを使用します。ほんとに化粧品のようですね。

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ワークショップでは画材メーカーさんから直接色々な話が聞けて、楽しかったです。

何のジャンルでも、知識や技術の体系に触れることができたときは、理屈抜きに楽しいと感じます。

まるで自分がそのテクノロジーを即座に使いこなせる気がして来ます。

即座にコントロールできる…  

それはきっと錯覚「ではない」のでしょう…!  

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