清原絵画教室のブログ

神戸で絵画を学ぶ。初心者からプロまで。

2011年06月

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昨日はルナ画材店の上の教室会場で、ホルベインの水彩ワークショップが開催され、8名の生徒さんと私が参加しました。

講義は絵の具、紙、筆の3つのテーマに分けて行われました。

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絵の具で興味深かったのは、ホルベインが長年の研究開発の末に3年前に国産で初めて発売した固形絵具のパンカラーです。

パンカラーは多量の絵の具を圧縮して作られており、高濃度な上にグリセリンの混入によって発色と流動性と安定性(ムラの少なさやコントロールの効きやすさ)が確保されているとのことで、確かに実技で試してみると、そのことがよく分かりました。

チューブ入りの絵具よりも水どけと色のびがよく、高品質の顔料使用による高明度、高彩度、発色の良さを体感することができました。

固形絵具はチューブ入りに比べて水どけが悪いと思いこんでいましたが、それは誤解でした。

同じ固形タイプでも、ケーキカラーはチューブ入り絵具を乾燥して固化したもので、実技で試してみると、確かにこちらはチューブ入りに比べて水に溶けにくいものでした。

また、パレットに置いて乾燥したチューブ入り絵具を水で溶かして使用する際に、絵具によってはなかなか溶けないこともあり、水に溶けにくいがゆえに色が淡くなりがちでした。
その時は新たにチューブから絵具を出して使っていました。

しかしこのパンカラーはとても溶けやすく、チューブ入りと同時比較することで、流動性と安定性とはこういうものか、ということがよく実感できました。

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紙については、とても勉強になりました。

紙の質を決める4つの要素があることを知りました。

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紙の厚さが絵にどう影響するか、ご存知ですか?

私は知りませんでした。

紙の厚さは波うちを防ぎます。
水彩画は多量の水を用いて描くため、描いているうちに紙が波打ってきます。
試しにコピー用紙に水を垂らしてみてください。
波打ちます。
それだと描きにくいのです。

スケッチブックの表紙にはg/屬箸いι週がありますが、それは1平方メートルあたり何グラムかという数字で、それで厚さを測るそうです。
今回ワークショップで使用されたAVALONもWATERFORDも300g/屬任靴拭
コピー用紙は50g/屐⊃綺霧?韻任覆げ萢兒罎世硲隠毅亜腺横娃娃/屬世修Δ任后
ちなみに650g/屬瞭淡鋐?箸い辰浸罎發△蠅泙后

紙の厚さは、波うちを防ぐ。
覚えておいてくださいね。これ、試験に出るとこですよ(笑)。

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紙肌=凸凹加減=目の粗さ

目の粗さが絵にどう影響するか、ご存じですか?

私は知りませんでした。

てっきり、絵が出来上がった時の風合いの問題だと思っていました。
鉛筆画などは紙の粗さが風合いを左右します(スーラのデッサンなど)。
それもあるでしょうが、しかし水彩画の場合は別の側面があることを知りました。

それは荒目の場合はしみこみが遅く、急がなくてもよく、コントロールが比較的簡単で、細目の場合はスピーディに描くのに適していて、上級者向けということです。

これは新しい認識です。

以前サイジングの強い紙(どうさによってしみこみを抑制した紙)で描いたことがあり、その時、しみこみにくいはずと思っていたら意外と早くしみこんでコントロールが難しいと感じたことがありましたが、その紙が細目だったことを思い出しました。
原因はそれだったのですね。

今度、荒目の紙で描いてみたいと思います。

また、荒目、中目、細目の製法も知ることができました。

綿またはパルプの繊維をドラムの中に入れ金網の中に流していって、その上から樹脂製の型(毛布?)で抑えつけて紙をシート状にするのですが、その時の毛布のでこぼこ加減がそのまま荒目だそうです。

そしてこれを圧縮して目をつぶすと中目、さらにプレスする際にアイロンで熱くしてプレスするとさらに目がつぶれ細目になるそうです。

スケッチブックの表紙にCOLD PRESSという表記があれば熱いアイロンではないプレスということで中目、HOT PRESSという表記があれば熱いアイロンによるプレスということで細目を表すそうです。

紙の表面の強さ

紙の強さは素材によります。
紙に使用される素材は綿と木材。
長い綿毛は衣類に使われますが、短い綿毛は紙に使用されます。

綿素材は木材に比べ繊維が長く絡みが強く、紙の表面強度が高まります。
強いこすりや重ねに対しても耐久性が増します。
これに比べて木材を原材料とするものは繊維が短いため絡みが弱く、表面強度に劣るそうです。水彩紙ではない画用紙や安い水彩紙はそのような紙だそうです。

AVALONとWATERFORDはコットン(綿)100%です。

ストラスモアは強い。

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水彩紙には、繊維をかき混ぜる段階で目止め剤を混ぜ込みます。これをサイジングといいます。
そしてシート状になったものに薬品を注入します。この薬品の加減とサイジングの強さで目止めの強さが決まります。
目止めが強ければ水弾きが強くなり、紙の表面上に絵具が残る時間が長くなるため、絵具をコントロールしやすくなり、目止めが弱いと紙むけが生じます。

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以上、私にとって特に勉強になったことを書きました。

生徒さんにとってもきっと勉強になったと思います。

また感想を聞いてみたいと思います。

今回はホルべインさんとルナさんのご厚意でこのように有意義なワークショップを開くことができました。

ホルべインさん、ルナさん、ありがとうございました。

そして、これからさらに、メーカー、販売店、ユーザーが一体化して絵画を盛り上げていけたら、と思います。

「モノから情報へ」と言われて久しい日本ですが、モノを作る人、販売・提供する人、使い方・情報を提供する人、消費・使用する人が連帯し、助け合うことが大切だなあと思いました。

そういう意味では、私はもっとモノの性質と扱い方を勉強しまければ、と痛感したワークショップでした。

メーカーさん、画材屋さん、生徒さん、これからもよろしくお願いします。

そうそう、このブログを読んでくださっている人も、よろしくお願いします。

読んでくださっていること自体が力添えです。大変うれしく思っています。


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6月5日はスケッチ大会でした。

5月に予定していた有馬でのスケッチ大会が雨で流れたため、2か月ぶりの開催となりました。

参加者は7名でこじんまりとしていましたが、いつもながらののどかな一日となりました。

緑豊かな環境でゆっくり過ごすのは気持ちいいものです。

今までスケッチ大会の場所を選ぶのに、絵の構図中心に考えて、都心を選んだことも何度かありましたが、今回は改めて、広々とした自然の中で過ごす気持ち良さを実感しました。

写真のお二人のように、自然に向き合い、自然の懐に抱かれるようにのんびりとゆるやかな時間を持つことは、とても心満たされるものであると思います。

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