清原絵画教室のブログ

神戸で絵画を学ぶ。初心者からプロまで。

2012年07月

 清原絵画教室がスタートしたのは2002年の7月。ちょうど10年前の今頃だった。ワールドカップがやって来て、神戸はお祭りのように賑やかだった。私はその頃、夜郵便配達をしながら昼間、風見鶏の館の前で似顔絵を描いていた。
 
 そこで多くの絵画グループの人たちを見た。どのグループの人たちもご高齢で、そしてとても楽しそうだった。多くの人たちが異人館を訪れていたがその誰よりも颯爽としていた。世の中のために働いてきて、ようやくご自分の時間を手に入れたのだ、今が青春なのだと思った。そしてこのような人たちをサポートさせていただけないか、と思った。しばらくして近所に「清原絵画教室」のチラシを配り、数日後に訪れた一人の婦人に私は尋ねた。「どんな絵を描きたいですか?」

 それがはじまりである。
 
 細々とした始まりにおいて、一期一会(毎レッスンを現金で頂いていた)であることや、講師はナビであるというコンセプトを掲げた。「あなたのドライブにナビを乗っけてナビがあなたにとって快適に機能しているのであれば、引き続きどうぞ案内をお申し付けください。あなたにとってなじまないのであれば、ナビを呼ばなければ結構です。」そんなドライな(いわば薄情な)考えが原点だったが、こうした流動性が10年間活動し続けることを可能にした一つの要因だったとも思う。

 しかし草創期に作ったもので、今はなくなってしまったコンセプトが一つある。今日はそれに目をむけてみたい。

 それは「徹底したホスピタリティ」である。

 私は絵の勉強をしながら10年近くホテルでアルバイトをしていた。1990年頃はミシュランに認定された三ツ星レストランでも働いていた。皇族や閣僚が訪れる店である。

 清原絵画教室を、そのようなホテルや病院で提供されるようなホスピタリティを伴ったくつろぎの空間にする。絵画を描きながら過ごすビラにする。 草創期に、私はそのようなビジョンを描いた。コンセルジュやソムリエやギャルソンやシェフが礼を尽くし、もてなしを提供するように、ナビが生徒に最高にくろいだひと時を、絵画制作の中ですごしていただく。レストランに行けば料理を楽しみ、バーに行けばお酒を楽しむように、清原絵画教室に行けば絵画制作をしながらその時空間を楽しんでいただくのである。いわばリラクゼーションとして機能させたいという思いがあった。

 今はそのような方針を採用していない。なぜなら、マクドナルドに行ってソムリエがうやうやしくワインの説明をしていたら「ん?」となるだろう。市バスにキャビンアテンダントとか。だから清原絵画教室も状況にあわせて雰囲気を変えたのだが、できればあのホテルサービス的絵画教室のコンセプトをもう一度復活させたい思いはある。

 エントロピーの法則のように状況にあわせて下に流れていくのではなく、建設的な明確な意志を持ってお客様を誘導して「店」をブランディングしていく。どれだけホスピタリティを徹底できているのか。そのこだわりがブランディングステイタスとなる。

 10年めで初志を思いだしてみたら、大事なことだなと思った。未曽有の経済危機などとマスコミがいくら騒いでも、町に物質はあふれている。人々が満たされていないのは精神的な部分だと思う。精神的なごちそうを、絵画という料理を、サービス業を参照したホスピタリティで供していく。それを多くの人は求めているはずだ。寺に、修道院に、人々は安らぎを求めて修行体験に行く。その人々をお坊さんや修道士さんたちはホスピタリティの精神でもてなしている。昔から大切にされ、営まれてきたことだ。あるいは茶の湯。

 当然ながら提供する側-つまり私-は提供するに足る器をもたなければならない。たんにうやうやしくせよとか、末梢的なことではない。受動的にお客様にあわせるのでない。しかし主体的に精神的なごちそうを創造した上で、どうすればお客様にすんなりと召し上がっていただけるか、その供し方を追求する奉仕的な至誠も必要だろう。奉仕的な誠があるからこそ、他では得られない価値ある製品(指導)が光る、ということもあるかもしれない。多分それは連動した要素なのだろう。

 今すぐとはいかないが、上記の旗をふたたび掲げることができれば、と自身に願う。今は「願い」にとどめさせていただくが、全ては意志・思考から始まる。挫折したのではない。状況との関係で模索が続いているのだ。現状に対応してきたのだ。「言うは易し行うは難し」とも思わなくていい。

大切なのは最初に夢見たことをポジティブに思い出すことだ。できるはずだと起き上がることだ。

恥じてもいいが、俺はダメな奴だとレッテルをはるのはだめだ。

できる。ここから出発する。








システムをつくること。

たとえば徐行描き-色遊び-一発彩色法についての向上プログラムを作り、文書化して生徒のテキストとしてつかう。これらの向上プログラムには、補足的な口頭の説明と実演が効果を発揮する。そこでこれらの説明と実演をも文書化(マニュアル化)し、ナビ(インストラクター)に習得してもらう。

1.向上するための型(=マニュアル=文書)をつくる。

2.型を完全に伝えるための補足的な口頭説明をつくる。

3.うまく口頭説明と実演ができるように、そのための型(=マニュアル)をつくる。

4.プログラムがうまく達成できたか、合格基準をつくる。

5.合格基準をクリアした生徒に明確な合格認定を与える。

このようなシステムをつくる。

生徒に技術を伝えるのはナビの重要な役割のひとつだが、今のところ清原絵画教室には、私しかナビがいない。

清原絵画教室のこれからの生産物として、(優秀な生徒に加えて)優秀なナビを挙げたい。

すぐれて汎用的、すぐれて実用的な(使える)プログラムと、すぐれたナビをつくること。これを創設から10年たった清原絵画教室の新しい意志として掲げたい。


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ところで、優秀な生徒は従順なロボットではない。優秀な生徒は自ら考え、自分で自分および他の生徒をナビできる存在である。だから、もしその生徒がプログラムを他の生徒に伝授する場合も、なぜそれが大事なのかをうまく伝え、同意させることができ、そして伝授される側の生徒が自ら選んでそのプログラムを身に付ける意志を持たなければならない。そうでなければ、誰かの意志を完全に理解せず実行するだけの、自分の判断基準をもたないロボットができてしまうだろう。

清原絵画教室で提供するプログラムは、実証されテストに耐えたものであると考える。教室創設からおよそ10年の蓄積されたデータがあるのでエビデンス(根拠)としての力を、ある程度もっているといえる。しかし生徒が、そのプログラムは自分にはあわないと感じる場合、明確にナビの提供するナビゲーションを拒んでいる。そしてそれはその生徒の意志である。清原絵画教室はそれを尊重する。その時その生徒はナビをおろすのがよいだろう。

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テストに耐えて確立されプログラムとそれを提供するナビ。清原絵画教室の中にたくさんのプログラムとナビが存在している。それが理想の光景だ。

そして私は自分の美を追いかける。つまり作家の仕事に力を傾ける。自分の美的感覚をアピールするのは、作品がいちばんいい。教室などで、ことばで自分の美的感覚を主張し、人に押し付けてはいけない。作家としての衝動としての代替行為であるとして軽蔑し、遠ざけるべきである。















清原絵画教室の対象年齢を「4歳以上」から「18歳以上」に変更した。

子どもの親御さんからの問い合わせのやり取りに困難をかんじることが多く、この年齢層のシャッターを閉じさせていただくことにした。

「努力が足りない」とお叱りを受けるかもしれないが、快適な教室運営のための判断ととらえ、ご理解いただきたい。

清原絵画教室の対象は本来大人である。そして年齢が高かろうが低かろうが一人前の人間として遇する。それが教室のコンセプトだ。

だから子どもであっても、大人と同じように行動できればナビは一人前の大人として、あるいはアーティストとしてリスペクトを持って接する。

しかしここ最近は最初の問い合わせの段階で、親の態度に戸惑いをかんじることが多くなった。ゆえに最初のシャッターを下ろすことにした。

コンビニならば店員に当たり前に要求される接遇なのだが、清原絵画教室で提供しているサービスはコンビニとは性質が違うので、トラブルを避けるために、最初から明確にシャットダウンするべきと考えた次第である。

清原絵画教室は、画家清原健彦がナビを務める絵画の案内サービスだとイメージしていただければ幸いである。

なお、今来ている人には18歳以下であっても引き続きレッスンを提供する。






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私清原健彦が昨年作った画文集「いなとやまとしもつき」​。その舞台となった伊那地方を描いた水彩原画を展示しま​す。

会場となった飯田市の図書館と遠山郷は、訪れるだけでも​すばらしいところです。ぜひお越しください。

遠山郷観光協会↓
http://www.tohyamago.com/


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1.清原健彦「いなとやまとしもつき」原画展

場所:飯田市立中央図書館2階研修室
    〒395-0034長野県飯田市追手町2-67​7-3
    電話:0265-22-0706
    http://www.nanshin-lib.jp/​iida/access.html
    
    会期:2012年7月24日(火)~7月29日​(日)10:00~18:00
    ※7月27日(金)は休館日、7月29日(日)​=最終日は17:00終了



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2.神々の棲む里 原画展

南信州新聞で2011年12月から2012年5月にかけ​て連載された小説大槻武治氏著「神々の棲む里―遠山郷の​幻想―」挿絵の水彩原画を展示します。

場所:遠山郷土館/和田城
    〒399-1311 長野県飯田市南信濃和田1​192 
    電話:0260-34-2355
    http://map.mapple.net/map/​map.aspx?q=_sid-G020000261   
会期:2012年7月27日(金)~8月19日(日)9​:00~16:00       会期中8月9日(木)のみ休館日

遠山郷土館入場料: 大人300円(高校生以上)小人1​00円(小学生未満無料)




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3.清原健彦「いなとやまとしもつき」原画展

場所:旧木沢小学校
    〒399-1401 長野県飯田市南信濃木沢811
    電話:0260-34-1071(遠山郷観光協​会)
    http://www.ohrai.jp/gt/​fun_gt/07haiko_kizawa.html
    
会期:2012年8月1日(水)~8月19日(日) 9​:00~17:00
    会期中無休



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関連企画

1.図書館トーク「伊那の魅力と、本ができるまでの話」
日時:7月28日(土)14:00~16:00
場所:飯田市立中央図書館2階研修室


2.和田城絵画教室「お面を描こう」(要予約)
日時:8月2日(木)10:00~13:00
場所:遠山郷土館/和田城
対象:小学生以上
持ち物:鉛筆(4Bか6B)、色鉛筆(赤・青・黄)、画​用紙またはスケッチブック
お申込み・お問い合わせ:遠山郷観光協会
電話:0260-34-1071  eメール:info​@tohyamago.com

3.スケッチ散策「木沢集落を描こう」(要予約)
日時:8月19日(日)10:00~17:00
場所:旧木沢小学校体育館集合
対象:小学生以上
持ち物:画材(鉛筆、絵具、パレット、筆、スケッチブッ​ク、水入れ、雑巾、色鉛筆など)、敷物または椅子、弁当
お申込み・お問い合わせ:遠山郷観光協会
電話:0260-34-1071  eメール:info​@tohyamago.com




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私は、下記の日に会場におります。お越しの際にご一報く​だされば幸いです。
eメール:kiyoharaart@gmail.com

●飯田市立中央図書館:7/​24(火)、25(水)、26(木)、28(土)、29(​日)
●遠山郷土館/和田城:7/27(金)、8/​2(木)、8/18(土)
●旧木沢小学校:8/1(木)、8/19(日)






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かなり変則的です。

ご確認ください。

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