清原絵画教室のブログ

神戸で絵画を学ぶ。初心者からプロまで。

カテゴリ: 清原絵画教室技術

2022年8月28日(日)のレッスン風景です。
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メソッド4番「色彩理解のドリル」、第10段階(最終段階)です。今まで取り組んできた第1段階~第9段階のドリルの結果を見せながら、他の生徒が自分と同じように実行できるように手順を説明する、というものです。この行為によって行為が言語化され、色彩に関する知識を理論として肚(はら)に落とすことができます。

「色彩理解のドリル」のゴールは「できること」ではなく「分かること」です。それは実践体験(=ドリル)を通して理解に至る道筋です。そして「できること」を達成するには反復訓練が必要です。それは地道な訓練ではなく、作品作りの過程で身につけていただければいいと、講師は考えています。

中田敦彦。
今私が最も注目している人物です。
そのポテンシャルは、お笑い芸人の枠を軽く超えています。
講師として、事業家として、変革者(イノベーター)として、表現者として、一流の仕事をしています。
その中田敦彦がちょうど昨日、レオナルド・ダ・ヴィンチをテーマにした動画を公開しましたので、ちょっとそれに触れたいと思います。

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まずはご覧ください。
前篇
後編

この動画で目をつけたいキーワードはルネッサンスであります。
ルネサンス精神は、それまでのキリスト教の一元的価値観、一元的支配に異を唱え、異教や異なる哲学、異なる文化にも価値を与えました。
そのルネッサンスの時代精神を最も体現したのがレオナルドでした。

中田解説から、私は次のことを思いました。
・レオナルドは独学の人だった。(だからこそ)旧来のしきたりを排し、新しい行動原理で仕事をすることができた。
・その行動原理は観察であった。それは科学という活動に必要な行動原則だった。
・自分自身の観察に基づいて事実を追究した結果として、結果的に普遍的絵画を生んだ。

それを今の当教室の状況に結びつけてみます。
・当教室の生徒は美術教育の影響を受けていない=旧来のしきたりに拘束されない。
・当教室の指導の出発点であり、根幹をなす精神は対象観察である。

そうすると、筆者が時々襲われる「ルネッサンスに似た、新しい時代精神が私達の教室において勃興しつつあるのではないか?」という予感に、根拠を与えられた気がして、なんだかうずうずわくわくしてしまうのでした。

「中田敦彦のYOUTUBE大学」は膨大な投稿数です。
この日の中田敦彦は若干鼻声で、風邪を圧して制作しているのでは?と推測します。
普段の指導で強調している「質より量」の表れであり、プロフェッショナルの表れであることを、付言しておきたいと思います。

/主宰 清原健彦


徐行描きを終えたAKから「成功物語」報告が届きましたのでシェアいたします。
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『徐行描きグランドツアーを終えて』

本科 AK

私は6月に体験で教室を訪れ8月に本科生となり、先日徐行描きのグランドツアーを終えました。
徐行描きを始めたころは驚きと戸惑いの連続でした。けれでもグランドツアーを終えて感じた事は、多岐にわたる規則は描く上でとても有効で助けになるいう事でした

複雑で細かい規則に従っていると、何度もペンが止まってしまいます。その度に先生の教えを請い、いつの間にか思ってもいないような、今まで描けたことのないような絵が完成していた…そんな繰り返しでした。
グランドツアーでは対象物の線をひたすら目で追って描くと言う事に集中できたと思います。その時支えになったのは、戸惑い苦しめられたはずのたくさんの規則でした。描き終えた時には、『徐行描きの生産物①②』に近づけたのではないかという達成感がありました。

ただ今回課題も見つかりました。規則⑩の『似ているかどうか、バランスが正しく描けているか、気にしない。』を自分に言い聞かせながら描いていた事です。それを意識することなく、のびのびと描ける状態になるという事を目標をにしながら、次のメゾットにも取り組んで行きたいと思います。

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「支えになったのは、戸惑い苦しめられたはずのたくさんの規則」…生産者の目ですね。技術は、楽しく自由に描く武器になります。
徐行描きは、技術はあなたを助ける、ということを教えます。
入門者が一番最初に学ぶことです。
修了おめでとうございます。

/主宰 清原健彦

今日は専攻科講座でした。

徐行描きの予定でしたが、「こんな妄想が浮かんでいるんです。でも描けないんです。木が描けないんです。」と専攻科生森本陽子(敬称略)の絵の構想を聞くうちに、まあ何はともあれそのイメージをちょっと描いてみよう、ということになり、おずおずと手を動かしはじめ、それから少しずつ発展し、約4時間でこの絵を描きました。

絵画芸術を作るにはスキルが必要だと考えられています。それは間違いではないのですが、技術よりも「気持ち」の方が重要だと講師清原は考えます。当教室の入り口である「徐行描き」は基本中の基本ですが、それは「ゆっくりていねいに描くこと」、「部分を完成させて隣へ隣へと増殖させていくこと」、「似ているかどうか、うまく描けているかどうかを気にしないこと」「線と線の関係を描くこと」という姿勢を習得するものです。それらに集中する時、「気持ち」が注入されるのです。そしてここに掲載した鉛筆画にも、同じ原理がはたらいています。

徐行描きの最も重要な核心部分は対象(オブジェクト)をよく観ることです。オブジェクティブということです。この絵は対象を見ながら描いていないのでオブジェクティブではなく、主観・主題による絵画で、サブジェクティブです。そこは決定的に徐行描きとは異なるところです。しかし徐行描きを通して上述した姿勢を習得することにより、このような観念・イマジンによる絵にも力を与えると言えるでしょう。

数か月前に当教室に入門して、初めて妄想(イマジン)による絵を描いた森本(敬称略)。森の絵の妄想(イマジン)は溢れているのに木が描けないから描けないんですと嘆いていた森本。名前の中に木がいくつも出てくる森本。色々な意味で記念すべき絵が描けました。これからは森の絵を存分に描けるでしょう。

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 森本陽子 題名未定(未確認) 紙に鉛筆 F6号サイズ

不気味な精霊が立ちはだかる森の中を歩く少女。握りしめたテディベアから勇気を補給し、絵筆が光の軌跡を生み出し、暗闇を切り裂く。美術を生きるすべての者に与えられる護符のような絵だと思いました。

スキル(装備)などおまけです。大事なのは勇気を持って前進する「気持ち」。この絵はそう告げています。

/主宰 清原健彦


色彩理解のタワー
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↓赤、青、黄の混色を三角形のグラフに表してみました。
外側が高彩度、中が低彩度になります。
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↓この三角形をタワーにします。上が高明度、下が低明度です。
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三次元の色の座標です。

/清原健彦


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